アメリカの大恐慌時代に実在し、庶民の希望として愛された競走馬シービスケットと、その騎手ら3人の男たちの半生を描いた感動ドラマ。
世の中には超大作といわれ、派手な映像をウリにする映画が数多くある。だが、純粋に映像のパワーのみで感動させてくれる作品など、いったいいつくあるだろう。『シービスケット』は決して超大作とはいえない映画だが、その映像の迫力、観客の心に訴えかけるパワーは紛れもない一級品だ。
『シービスケット』のレースシーンの迫力は、工夫されたカメラワークとそれにシンクロする見事な音響、思いきり感情を揺さぶる音楽によって我々を圧倒する。ただの競馬の場面が、ここまでのスペクタクルになるとは、見る前は予想だにしなかった。
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たとえば実際競馬場に足を運ぶと、馬たちの走りが地響きとなって腹に響き、えもいわれぬ爽快感が味わえるものだが、この映画のスタッフはその「生の感動」すらも凌駕するほどのシーンを作り上げた。これは特筆に価する。
もちろん、映像の素晴らしさだけがオススメする理由ではない。家族離散や故郷を失った等の不幸を抱えた男たちが、駄目なチビ馬として見捨てられていたシービスケットに導かれるように運命的な出会いをし、やがて信じがたいほどの大活躍をする物語も実に感動的だ。
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何しろ彼らの前に立ちはだかる試練は尋常なものではない。シービスケットがなぜこの大不況時代に貧乏人のヒーローとされていたか、なぜ、人々の希望の星だったのか、この映画を見ればすべてわかる。こんなことが起きたら、そりゃ「伝説」にもなるというものだ。
日本も今、構造的な不況に悩まされ、社会は停滞気味だ。『シービスケット』の時代背景と同じとまではいわないが、共通する部分も少なくはないから、ガッツあふれる登場人物たちの人生には大きく共感できる人も多いだろう。
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シービスケットの奇跡の実話は、登場人物たちの不屈の精神と、それを支えた家族愛が生んだもの。この映画を見れば、現在の日本にすむ私たちも、大きく励まされ、明日からの過酷な日常を生き抜く元気を与えられる。名馬シービスケットは、時代や国境を超えて、人々を励ます存在でありつづけている。
そんなわけで映画『シービスケット』は、その映像&音響の凄まじさで、大スクリーンで映画を見た満足感をこの上なく味わえる上に、役者たちの熱演とテンポのよい展開によって、感涙のラストまで一気に見せるドラマの魅力もある。よって「映画館で見てほしいオススメ映画」として、まれに見る高得点と相成ったわけである。絶対にお見逃しなく。こんな凄い映画はあまりないですぞ。
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